部下に動いてほしいなら、自分の想いは伝えない
こんにちは、コーチのShinです。
春になり、
新入社員が入社したり、社内異動でチームメンバーが変わるなど、
人の入れ替わりがある時期だと思います。
新年度の心躍る時期でもある反面、
どんな部下がくるのか、上手くチームに馴染めるか、
同じ方向を向いて頑張ってくれそうな人なのか、
少し不安な気持ちがある方もいるのではないでしょうか?
初対面での挨拶や面談、仕事中や懇親会の場において、
上司や先輩の立場で、
部下に対して、自分の熱い想いや気持ちを伝えようと意気込んでる方・・・
ストップ!!!
その想い、部下に伝えるのはちょっと待ってください。
まずはその熱を冷まして、そっと心の中にしまい、この記事をゆっくり読んでいってください。
自分の想いを伝えるのは、ただの自己満
冷静に考えてみてください。
部下は、まだ自分がどんな場所に立っているのか分かっていないんです。
これから一緒に働く上司や先輩達がどんな人なのか、
自分はどんな仕事を覚えていく必要があるのか、
どんな生活が待っているのか、
こんな興奮と不安の入り混じったような精神状態で、あなたの目の前に立っているんです。
そんな人に急にあなたの熱い想いを一方的に伝えて、正しく理解してもらえると思いますか?
目の前にいる部下は、登山に初挑戦する素人です。
登山初挑戦の人に対して、
「この山は、実はエベレストくらい高くて険しい山なんだ!でも君なら大丈夫!大変かもしれないけど、絶対に自信がつくと思うし、頑張ろう!」
そんなことを言って、誰が登ろうと思いますか?それで喜ぶのは、相当なもの好きだけです。
ちょっと極端な例えですが、同じようなことを言っているんです。
「大変かもしれないけど、頑張っていこう」
「やりがいのある仕事だから」
「期待している」
余計なお世話です笑
自分の熱い想いを一方的に伝えたところで、その熱量に距離を感じたり、プレッシャーに感じるだけです。
それぞれ色んな目的、目標があって、今あなたの目の前にいます。
先に挙げたような言葉は、一歩間違えれば、あなた主体の期待や理想を押し付けているだけの言葉として伝わってしまう可能性があるのです。
せっかく心から部下の成長を願っていたとしても、間違った方向に受け取られてしまってはもったいないですよね。
部下の想いを聞く、ラポール(信頼関係)を築く
まずは、部下の話を聞く、知ることから始めてください。
勘違いしてほしくないのは、部下のご機嫌とりをしたり、腫れ物に触るように接してと言っているわけではありません。
部下がどんな想いでここに来たのか、もしくは今どんな想いをもってここにいるのか、ただ率直な気持ちや言葉に耳を傾けてください。
まずは信頼関係(心理学では「ラポール」と呼ばれる)を築くことが必要です。
この辺は、女性の方が得意な人が多いかもしれませんね。
周りに共感力を発揮している女性がいれば、是非見習って、参考にしてほしいと思います。
話を聞いて、共感してもらえたことで、部下は自分を尊重してもらえたという実感を得ることができ、信頼関係の構築に繋がります。
返報性の法則
信頼関係を構築することが、何故良いのかと言うと、
あなたに対する部下からの返報性の法則(好意の返報性)が作用することに繋がります。
あなたにも経験ありませんか?
あの上司のためなら、あの部署の◯◯さんのためならと、協力したり、力を貸したくなる状況や経験
それと同じ状況を部下との間に作ることに繋がるんです。
私は、海上自衛隊で幹部自衛官として部隊に配属された24歳から、10年以上、幅広い世代を部下に持つ経験をしてきました。
下は18歳の新入社員から、上は父親ほどの年齢の人まで。もちろん育ってきた環境、性格、スキルなど全てが異なります。同じ人なんて一人としていません。
さらには、1年半から2年で次々と全国異動を求められます。管理職になる人材として人事管理されているので、色んな勤務先で経験を積むことを求められるからです。
せっかく人間関係を構築しても、またすぐに全然違う場所に異動し、
新しい人達とチームを組んで、その場所で進んでいるプロジェクトを動かしたり、新たな課題に取り組んでいくことが求められてきました。
それぞれの転勤先に配属された直後は、部下の人達もまだこちらの様子を伺っている状態で、上司と部下の立場だから指示に従って仕事を進めてくれている状態でした。
ですが、少しずつ時間をかけ、部下の話を一人ひとりに興味をもって聞き、これまでの経験や今後の悩みなどを聞いている中で、信頼関係が築かれ、
私が依頼する仕事を予測し、先回りして動いてくれていたり、自分から進んで協力してくれるような関係性、職場環境になっていきました。
時間は有限なので、自分の仕事を後回しにすることもありますし、残業せざるを得ないことだってありました。時間と労力のかかることですからね。
でも、それだけ信頼関係を築くことは重要ですし、これをすることでやっと互いに同じ方向を向いて進んでいくだけのパワーを生み出すことができるのです。
逆に、この信頼関係がない状態で、階級の上下関係だけで仕事を指示している他部署の方の中には、結局自分の意図と部下の認識にズレが生じてしまい、仕事は進まない上に、関係性がさらに悪化している状況を沢山見てきました。
まずは、相手のことを知る、興味をもって話を聞き、信頼関係を構築する。
そうすることで相手は、自分のことを理解し、尊重されている実感を得られる。そうすることで、あなたに対する好意の返報性が生まれ、チームにコミットしようと、自発的に変化、成長し、行動することに繋がります。
注意してもらいたいのは、返報性を期待して、打算的な考えで、行動することは止めましょう。気持ちは行動にあらわれます。必ずボロが出ます。
〇〇してほしいから、▢▢してあげるという気持ちではなく、
本心から、まず自分から相手のために行動することが大切です。
相手が聞いてきたら、必要な分だけ伝える
じゃあ、自分の想いは伝えないのか?と聞かれそうですが、
部下の人から聞かれたら答えるだけで十分です。
日頃のあなたとの会話から汲み取ることができる人もいるでしょうし、
別の先輩に相談して確認する人もいるでしょう。
それでも分からなければ直接聞いてきます。
どちらにせよ、自分から一方的にあなたの熱い、なんなら熱苦しい想いを伝える必要はありません。
日頃から自ら相手の話を聞き、信頼関係を築けていれば、
彼らは必ず自発的に動いてくれますから。
念のため言っておきますが、
何も言うな、教えるな、お客様のように扱えと言いたいのではありませんからね。お忘れなく。
きっとあなたなら部下を思いやる素敵な上司になれると信じています。
あなたとあなたの部下の方々が良いチームとなり、
良いサービスを世の中に広げて、貢献できることを祈念しています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
この記事を読む前よりも今、昨日よりも今日、
少しでもあなたの変化・成長のお役に立てていたら幸いです。
これを読んでくださったあなたが、
あなただけのゴールをデザインし、
笑顔で、自由な、自分らしい人生を実現できることを願っています。
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