親は選べなくても、自分が進む道は決められる
コーチのShinです。
今回は、親ガチャ失敗の人生について、お話したいと思います。
親ガチャとは
親ガチャは、数年前に注目を浴びたインターネットスラングで、
「どんな親や家庭環境のもとに生まれるかは運であり、生まれの不遇さは自分ではどうにもできない」
ことを表現した言葉です。
親ガチャのフレーズは、親に悩まされる若い世代を中心に、自分の親に対する不満を吐露したり、不遇を嘆くような主張が、SNSを通じて多数投稿され、瞬く間に世間に広まりました。
特に、「親ガチャに失敗した」として投稿される主な要因としては、
・両親の離婚
・経済的に恵まれない家庭環境
・親からの虐待
などが多く見られたそうです。
もちろん虐待なんてもってのほかですが、
離婚や家庭環境は各々の背景が異なるため、一概に失敗と言えるものか判断はできないものの、育つ環境が違ったら自分の進む道が違ったかもしれない、もっと良い選択ができたのかもしれないと人生を憂う気持ちも理解できます。
ここで、上に挙げたような「親ガチャに失敗した」と言えるような境遇にあった一人の60代女性Eさんについて、少しお話したいと思います。
たしかに生まれはどうにもならない
Eさんの家は、祖母、父、本人、弟の4人暮らしで、
お世辞にも裕福と言えるような家庭ではなかったそうです。
お父さんは根は良い人だったそうなのですが、お酒を飲むと性格が豹変し、お母さんや子供にも暴力を振るっていたらしく、それが原因で、Eさんが小さい頃、お母さんは家を出ていってしまったそうです。
おかげでEさんは、お母さん代わりに弟さんの面倒を見たり、明治生まれの厳格な祖母に家事などについて厳しく叩き込まれたそうです(当時は男尊女卑が当たり前)。
家にお金がないため、お父さんは度々他所に出稼ぎに出ていたそうなのですが、不在の間も平穏な日々はありません。
そのお父さんが多額の借金をしていたそうで、家には借金取りが幾度となく押しかけてきて、居留守を使って家で隠れていても、玄関をバンバン叩く蹴るのやりたい放題。
小さかったEさんは、怯えながら弟と身を寄せ合って、祖母と共に家に隠れていたと語っていました。
そんな家庭環境なので、食事をお腹いっぱいに食べるなんて経験したことがないらしく、近所のパン屋さんにパンの耳を貰いに行ったり、家では前日の冷や飯を食べて過ごすような日々だったそうです。
近所の裕福な友達の家に呼んでもらった際に提供されるお菓子は、言葉にならない味で、幸せな時間だったと言っていました。
学生時代、弟さんが、学校で友達に彩りもない、お米とおかず1品しか入っていない自分のお弁当を見られるのが恥ずかしいから、おかずをもう1品増やしてほしいと相談されたことがあるそうです。
もちろん家にはお金がなく、おかずを増やす余裕はなかったそうなんですが、家に入れていた自分のバイト代から何とかお金を捻出して、
弟さんのためだけに卵を買い、少ない量でふっくらした卵焼きを工夫して作っては、弟さんのお弁当にだけにその卵焼きを入れて、持たせたそうです。
数十年たった今、その話を弟さんにしても全く覚えていない、と笑って嘆いてらっしゃいました。
勉強が好きで、成績も悪くなかったそうなんですが、手に職をつけて家にお金をいれるために高校は被服科(服飾系の学科)に進学。
その後、地元の銀行に就職するものの、田舎かつ女性ということもあり、月給5万円。うち3万円を家に入れていたとのこと。
ちなみに、調べたところ1970年後半のサラリーマン給与が約17万円。地域差はあったと思いますが、それにしても少なすぎますよね。
こんな親ガチャ失敗の要素をもつEさんですが、
この経験があったからこそ、
お金を徹底的に管理する、無駄遣いをしない習慣が身につき、さらには少々のことではへこたれない精神力が身についたそうです。
その後、地元の一般的な給与所得のサラリーマン男性と結婚され、二人のお子さんを授かったそうなのですが、
そんな中でも、化粧品の卸業に転職され、キャリアを積み、その会社で女性初の役職持ちに抜擢。
しかし、Eさんは、これ以上その会社でのキャリアアップを望めないことが分かっていたそうで、会社を退職し、美容系の仕事で起業・独立。
ご自宅でサービスを提供しながら、全ての家事をこなされ、二人のお子さを育ててこられたそうです。
起業した仕事も、順風満帆というわけではなく、苦労も絶えず、歯を食いしばって何とか軌道に乗せたとお話を伺い、大変苦労されてきたことが伝わってきました。
さらに驚くのが、Eさんの長女が海外の大学に進学したい相談してきたらしく、留学生の学費が日本の私大(理系)4年間の学費の倍以上かかる額だったにもかかわらず、Eさん自身のようにお金で選択を諦めてほしくないという想いから、娘さんの進学を許し、卒業までちゃんと面倒を見たとのこと。
これだけでは終わらず、息子さんが、公立高校の受験に失敗し、滑り止めで受けていた県内で一番学費の高い私立高校に通わせることに。
息子さんが高校2年生の春、旦那さんを癌で亡くしたにもかかわらず、息子さんを残り2年間その私立高校に通わせ、無事に卒業させられたそうです。
Eさん御本人の子供時代では到底想像できないような生活環境ですよね。
借金もせず、奨学金を借りさせることもなく、全て貯金で賄っていたんです。これが地方のごく普通のサラリーマン家庭ですから驚きです。
断っておきますが、この話に一切のフィクションはなく、全て実話です。
御覧いただいて分かるとおり、
すごいお金持ちが急に現れてサポートしてくれたとか、
何か驚くような力が働いたなんてことはありません。
全て本人の意志と行動力で実現してきたことなんです。
諦める必要はない、自分がどう生きたいかだけ
長々と書いてしまいましたが、いかがだったでしょうか?
別にこのEさんより良い環境だからマシだと思えとか、悪いから人生詰んだとかいうことではなく、子供時代からは想像できないような人生を歩んでいる人もこうしているということです。
親ガチャ:
「どんな親や家庭環境のもとに生まれるかは運であり、生まれの不遇さは自分ではどうにもできない」
生まれつきの不遇さはどうにもできないかもしれません、子供にできることには限界がありますから。
でも、その状況をSNSで嘆いて、イイねやコメントをもらって、何の意味があるんでしょうか?これを理由に、今の自分の人生もどうにもできない理由があるんでしょうか?
もちろん、全ての人がEさんと同じような結果を出せるなんて無責任なことを言うつもりはありません。
ですが、数十年前の、今以上に選択肢の少ない時代、男尊女卑社会で育った女性のEさんがこれだけのことをやってのけてきたんです。
現状で親ガチャ失敗を実感し、悩まれている方
社会人になっても親の過干渉で息苦しさを感じている方
親のせいで自分の人生を不遇に感じている方
あなた自身が、現在の状況を本気で変えたいと思えば、自分の進む道は自分で決められます。
親と物理的、または心理的距離を取ることだって可能です。
あとはあなたの意志と行動力次第です。
科学的にも、人生は育った環境や親の遺伝子だけに左右されるわけではないことが分かっていますし、
学歴はその後の人生で高収入をえられるかどうかにはほぼ関係ないことも報告されているんです!
「親ガチャ」は、当時の日本に蓄積した社会問題とそれに対する不満が表れた言葉だと言えるでしょう。
周りの環境のせいにして愚痴を吐き続けることは簡単ですし、それを言い訳にすれば苦労して頑張ることからも逃れられます。
でも、あなたが本当に今の自分を変えたい、
親や他人に左右される人生ではなく、自分が心から望む人生を生きたいと思うのであれば、
今すぐにでも行動してみる価値は十分にあるのではないでしょうか?
最後に白状しますが、
Eさんは、実は私の母です。
決して自慢したいとか、私が恵まれていたとか言いたいのではありません。
むしろ、口うるさくて、お節介な母親で面倒だなと思うことだってあります。過干渉だとすら思ってるくらいです笑
私自身、贅沢をさせてもらったわけではありませんし、お金のことは厳しく言われてきました。言われ過ぎの反動で、小さい頃は貯金嫌いでしたし笑
ただ、生まれや環境なんて関係ない、本人の意志で人生はなんとでもなるんだということを体現してくれていると、その部分は尊敬できる人だと思っています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
この記事を読む前よりも今、昨日よりも今日、
少しでもあなたの変化・成長のお役に立てていたら幸いです。
これを読んでくださったあなたが、
あなただけのゴールをデザインし、
笑顔で、自由な、自分らしい人生を実現できることを願っています。
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